瞼の裏に銀河を見て、夜ごとに原石は削られる。
削られ磨かれ、三日三晩が明ける頃、削られすぎてちびている。
輝きは粉になって夜のつめたい風に吹き飛ばされてしまった。
消しゴムの最後のひとつまみのように小さな石は、もう、カタリと音をたてるばかりだ。
輝きは粉になって油が浮かんだ海へ沈んでしまった。
二度と戻らない。
身動きたてるたびに地面で更に削れる石は、宝石の手前だったことなど誰も知らず、夜霧に紛れて海へ沈んだ。
ぽちゃん、と小さく響く音を、近所のからすだけが聞いていて、一晩のうちは覚えていた。
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【鉱石の原石】2016/11月